足守・大井・粟井地区の太陽光発電所建設計画

計画概要

岡山県岡山市北区足守、大井、粟井地区にまたがる巨大な太陽光発電所(メガソーラー)を建設する計画が、リニューアブル・ジャパン株式会社によって計画されています。186ヘクタール、ゴルフ場18ホール分、東京ドーム約39個分の森林を伐採し丸裸にして山を削り、約28万枚の太陽光パネルを設置する計画です。発電規模は約6万キロワット(60MW)です。

これらの地区は、中央を二級河川「足守川」が流れ、豊かな里山が取り囲んでいます。春は新緑が命の芽生えを感じさせ、秋は全山が紅葉し錦絵巻きを見せてくれます。

メガソーラーが建設されると、里山の森林は伐採され、山は削られ、古来からの景観は変貌するでしょうし、自然や住環境への影響が懸念されます。


上の地図は、建設業者から入手した計画図、岡山市が発行したハザードマップをもとに、有志が手作業で描いたものです。できるかぎり正確を期したつもりですが、手作業ゆえの誤り、ズレはあります。

白:メガソーラーのパネル設置の計画地
赤:メガソーラーの法面の計画地
黄:土砂災害危険地域
黒:土石流危険地域
青:浸水危険地域


画像をクリックするとGoogleマップで開きます。

土砂災害、土石流災害の恐れ

メガソーラーの建設計画地の山林は、土砂災害の恐れがある地域と重なっています。また計画地の下には土石流災害の恐れがある流域があります。

現在はコナラなど地下数メートルの深さまで根を張る「深根性」の樹木が優勢であり、地盤を支えていますが、樹木が伐採されると木の根は腐り、地中に空洞ができて土砂崩れが起こりやすくなります。

水害の恐れ

メガソーラーの建設計画地に降った雨の多くは、足守川に流れ込みます。2003年9月4日、4日間降り続いた雨により黒谷ダムが満杯となり、余水ばきから越流し、足守川が増水しました。下流域では堤防の上を水が流れ、もう少しで浸水が起きるところでした。堤防が一部崩れた場所もありました。

当時の雨量は、黒谷ダムを管理している土地改良区の記録によると、前日までの3日間で131ミリの降水量があり、4日当日は97ミリの大雨が降っていました。

森林に降った雨は、地中へ浸み込み、樹木が吸い込み、葉から蒸散し、残りが川に流出します。降雨を1.0とすると森林からの流出割合は0.5〜0.75となります。つまり降った雨の半分くらいが川に流れ込むことになります。しかし森林が伐採された裸地では地面の不透水地率が飛躍的に増大し、雨水の流出割合は0.8〜1.0となります。つまり降った雨のほとんどが直ちに川に流れ込みます。

メガソーラーでは、流出割合の差分を調整池で補います。

ホタルの生息

足守、大井、粟井地区は、県内でも有数の規模を誇る「ホタルの里」です。メガソーラーの建設によって足守川の水質が変化すると、ホタルの生息に影響が出るかもしれません。

住民運動

2017年7月15日、大井地区の住民に対して、リニューアブル・ジャパン株式会社による説明会が開かれました。

2017年7月23日、建設計画地に隣接する町内会が反対署名活動を開始しました。

2017年9月2日、大井地区連合町内会は「太陽光発電所建設反対」を決議しました。以降、署名活動を継続して行っています。また岡山市議会議員、岡山県議会議員への働きかけを実施するなどロビー活動を行っています。

2017年9月15日、大井地区連合町内会はリニューアブル・ジャパン株式会社に対して反対決議嘆願書を提出しました。

2017年11月17日、大井地区連合町内会は岡山県農林部長へ1441人分の反対署名を添えて、「林地の開発許可を出さないように」との嘆願書を提出しました。

2017年12月9日、大井地区連合町内会の主催による「里山について、土砂災害・水害の恐れについての学習会」(講師:波田善夫先生/岡山理科大学 生物地球学部教授、岡山県自然保護審議会委員)を開催、樹木の伐採が土砂災害・水害を引き起こす恐れについて学習しました。

2017年12月26日、大井地区連合町内会は岡山市長へ2643人分の反対署名を添えて、「開発許可に同意しないように」との嘆願書を提出しました。この時点で大井地区の83%の世帯が反対署名しています。

2018年1月13日、大井地区にて活動経過報告会・学習会(講師:友延 栄一様/岡山の自然を守る会)を開催しました。

2018年2月18日、足守地区にて大井地区連合町内会主催による「第1回経過説明会」が開かれました。これは大井地区の代表者が足守地区の住民に対して、業者から聞いた計画と調査した内容(自然環境、住環境への影響、関係する法律・条例など)を発表するものでした。

2018年3月11日、足守地区にて大井地区連合町内会主催による「第2回経過説明会」が開かれました。第1回の説明会に来られなかった住民へ第1回と同様の発表を行いました。

メディア掲載

2018年3月29日、朝日新聞【太陽光発電計画で摩擦 アセス義務化、事業の停滞も】<PC・スマートフォン>

2018年3月9日・12日、朝日新聞【[岡山]メガソーラーと向き合う】(上・下)(上)<PC・スマートフォン>(下)<PC・スマートフォン

2018年2月14日、山陽新聞【環境アセスでメガソーラー対象に 岡山市が県内初の独自条例制定へ】<PC・スマートフォン

2018年2月10日、朝日新聞【岡山市、メガソーラーを環境評価対象に】<PC・スマートフォン

2017年11月17日、瀬戸内海放送(KSB)【メガソーラー建設を許可しないよう嘆願 岡山市足守地区】<PC><スマートフォン

文責

あしもり遊学舎は、大井地区連合町内会とは独立した団体です。足守・大井・粟井地区メガソーラーに関する情報はすべてあしもり遊学舎が取材して得られたものを記載したものです。